消費電流はFPGAをどのように使用するかにより、各チャンネルの消費電流は異なります。これが、ボード設計者の悩みの種の一つだと思います。ICメーカーから公開されているツールを使用して消費電流を見積られていると思います。ただし、ツールを使用しても実際に見積もり通りの消費電流になるとは限りません。試作作成後に実動作状態で実際に流れている電流値をご確認頂く必要があります。
確認を怠った場合、下記図に示しますように、FPGAが予定通り動作しなかったり、動いたとしてもPOLコンバータを定格オーバーで使ってしまい故障の原因となる恐れがあります。
何らかの方法でPOLコンバータの出力電流を測定できるような回路を用意して頂く必要があります。
FPGAの消費電流が小さい時はラインに挿入した電流測定用抵抗(シャント抵抗)で消費電流を測定することが考えられます。POLコンバータの出力端子すぐそばにシャント抵抗を配置して頂き、抵抗を通して配線に接続して頂けたらと思います。(量産時には抵抗を配置せずジャンパーを搭載し、ボードの評価時のみシャント抵抗を配置する手段が考えられます。)
ただし、一つの指標として、消費電流が20Aを超えるような大電流の場合は、シャント抵抗の使用そのものが困難なケースがあります。電流検出用の回路を用意できない場合は、デジタル通信(PMBus等)機能を備えたコンバータを選定して頂くという手段もあります。
例えば定格出力電流が20Aのコンバータがあったとします。過電流状態で30Aまで電流が引ける場合はそれなりに大きなシャント抵抗が必要になります。仮に抵抗値が1mΩだとすると、30A流れている時は損失が0.9Wに達するので1Wの抵抗というわけにはいきません。また計算上20A流れるはずだった時に抵抗値が1mΩあるとすでに20mVの負荷変動が発生するので、シャント抵抗を入れるとFPGAがまともに動作しなくなるといった問題が発生する可能性があります。
このようなケースでは、デジタルPOLコンバータのPMBusで電流をモニターする事が考えられます。これであればシャント抵抗を配置する必要も無く、電流検出回路を検討することもしないで、実動作状態での電流値の確認を容易に行う事ができます。
ボード上のPOLコンバータのうち、電流量が多いと思われるものをデジタルPOLコンバータで設計して頂きます。各コンバータは通信ラインでつないでおきます。つないだ通信ラインは後で外部に接続できるよう、何らかの準備をして頂く必要があります。(下記は通信用にコネクタを用意して頂いた例になります。)
電流値を測定したいときに、USB-PMBusアダプターを介してPCにUSBで接続して頂く事で、各コンバータの状態をモニターして頂く事ができるようになります。モニター機能の一つとして出力電流量の項目がありますので、電流状況をご確認頂けます。
弊社の場合は、GUIを用意しておりますので、手間なく直感的にご確認頂けます。また複数のコンバータがボード上にあった場合でも、ハード的な変更無しにそれぞれのコンバータの状況のご確認と各POLの設定値変更を行う事もできます。
PMBusの知識が無くてもPC上から電源 (BDX)の機能が使えるソフトウェア