FPGAの電源ラインの電圧の立ち上がりにいくつかの要求事項があります。
・電源電圧立ち上がり時間
・電源電圧立ち上がり波形
各デバイスの推奨動作範囲内の電源電圧の立ち上がり時間を厳守する必要があり、電圧の立ち上がり方も単調増加でなある事が望まれます。
電源電圧の立ち上がり波形の例を図に示します。仮に立ち上がり時間として100msを要求された場合としています。この図において良い例というのが単調増加になります。悪い例として2種類の波形を挙げていますが、この波形となったから必ずしも起動できないというわけではありません。波形の振動部分がICの起動閾値以下であれば問題ない場合もあります。
このような波形となる要因はいくつかあります。
・パワーアップカレント(突入電流)
・FPGAの起動時に必要な電流
電源の起動時は過電流保護動作状態で起動します。コンバータは、出力電圧が決められた電圧に達するまで一定の電力を放出し続けるので、コンデンサに対する供給であれば時間の経過と共に単調増加します。しかし、FPGAの起動時の電流がPOLコンバータの過電流保護動作の閾値を超えている場合や、複数の要因でPOLコンバータの過電流保護動作の閾値を超えているといつまで経っても出力電圧があがってこず起動できません。
また、FPGAの電源周りのコンデンサ容量が、POLコンバータの想定の容量を超えている場合、予定された時間内に起動できない場合があります。
初歩的な選定ミスになりますが、POLコンバータとして選定した電源の過電流保護動作が、ヒカップモードやラッチの場合は電源自身が供給をやめてしまうのでいつまで経っても電源電圧が立ち上がらない事があります。
上記の例とは別に、デバイスの初期起動時に必要な電流があります。起動ステージの間、最小レベルのロジック・アレイ電流(ICCINT)を一定時間継続してデバイスに供給する必要があります。この継続時間は、電源から供給される電流量によって決まります。供給される電流が多いほど、VCCINT は高速で上昇できます。電圧が公称値の 90% に達すると、通常は初期高電流が不要になります。最大突入電流は、デバイスの温度に反比例して変化します。デバイス温度が上昇すると、起動時に必要な突入電流が減少します(ただし、待機時消費電力は、温度の関数により上昇します)。
POLコンバータの選定に当たっては、FPGA起動時に十分な電流を供給できる電流容量のものを選定する必要があります。
FPGA起動時には、短時間ですが、大きな消費電流が流れることがあります。FPGAの消費電流はFPGAの使い方・設計によって大きく変わるのですが、ほとんどの場合、通常動作中の消費電流が、パワーアップカレントを上回ることはありません。
つまり、電源設計は通常動作時の消費電流ではなく、最大に消費電流が流れるパワーアップカレントを基準にしなければなりません。POLコンバータの選定時には起動時のパワーアップカレントに対して、十分に電流を供給できる電流容量のPOLコンバータを選定してください。
良い例:電流容量が十分
⇒ 電圧がリニアに増大
悪い例:電流容量が不十分
⇒ 電圧が段になりリニアな増大でない