FPGA を正常に立ち上げるためには、電源電圧の立ち上がり順序 ( シーケンス ) の要求があり、各デバイスの指定した順序で電源電圧を立ち上げる必要があります。
≪要求シーケンス例: Virtex Ultra Scale≫
POL用コンバータには、出力電圧調整機能があり、電圧立ち上がり速度を調整できるものもあります。
出力電圧は外付け抵抗1~2本で調整できます。(大抵1本で調整できます。)
出力電圧の立ち上がり速度は、外付け抵抗を付加するか、外付けにコンデンサを付ける事で調整できるものがあります。調整機能がない場合も、POLコンバータ出力に接続されるコンデンサ容量がある一定以上に増えればコンデンサ容量の増加と共に電圧の立ち上がりが遅くなります。
起動のタイミングは、P-Good端子がある電源であれば、P-Good端子とom/off端子にて調整する事ができます。コンデンサと抵抗の組み合わせで時間調整します。
上記の容量でPOLコンバータの出力電圧や立ち上がり時間を設定した場合でも、実際に基板を試作した後に、FPGA端子付近にて、ボードが動作している時の電圧をオシロスコープにて確認する必要があります。(測定方法の項も合わせてご参照下さい。)
選定した電源の特性、電源ラインの配線の仕方、配線の抵抗値、配線のインダクタンス値、付加容量によってFPGAにかかる電圧の波形が設計時の想定からずれる事があります。デジタルマルチメーターやテスターでは、周波数の高い成分が見えないのでご注意下さい。
- 静的負荷変動分の電圧変動
- 動的負荷変動分の電圧変動
- 立ち上がり速度
どのような動作条件下であってもFPGAの要求から外れないように調整して下さい。アナログ回路で構成した場合は、立ち上がりタイミングの調整は部品の定数変更で行います。
立ち上がり速度が出力コンデンサ容量で決まっている場合は、速めるにはコンデンサ容量を減らすしかないので、選定時に注意が必要です。
また、電源電圧値を変更する場合も出力電圧設定抵抗の変更が必要になります。
お使いのコンバータがデジタルPOLコンバータであれば、シーケンスの変更や電源電圧の変更は、通信にて設定値を変更することで実現できます。上図のように、同じコンバータを複数実装したボードであっても、通信ラインは4本だけで済みます。(PMBus)アドレス指定によって、それぞれのコンバータを違う特性に設定することも可能です。
不揮発性メモリに書き込みますので電源を切っても設定値は残っています。
製品の量産時には、ボード作製ラインでパソコンから書き換える方法とメーカー設定値を変更した製品を購入する方法があります。