絶縁型のDC-DCコンバータは金属シールドケースに収納されている製品が多く市販されています。しかし、最近では金属シールド面が5面という製品が多くなりました。6面全方向シールドが一番いいことには代わりが無いのですが、やはりコスト面で端子の絶縁構造が面倒になることや、6面構造でのコスト問題などが5面シールド採用の要因です。 絶縁型のDC-DCコンバータには当然、絶縁トランスが使われています。この絶縁トランスを高周波でスイッチングする事でトランスから漏れ磁束が発生します。トランスにギャップがあれば更に漏れ磁束は増大します。この漏れ磁束を金属シールドケースで遮蔽させてノイズの伝播を低減しています。漏れ磁束は遮蔽板が有る事で磁束のループを金属面で断ち切って渦電流となり消滅します。 5面シールドの場合、シールド板が有る事で、かなりの量の漏れ磁束が断ち切られますが、やはり開口面からは漏れ出します。図1の写真2は5面シールドケースの開口面側にループアンテナを付けて漏れ磁束をオシロスコープで測定した波形です。プリント基板側には一切のベタグランドパターンを作りません。この結果、漏れ磁束は574mVp-pを観測しました。 一方、写真1はプリント基板にベタグランドパターンを金属ケースよりも広い面積で作りました。この測定結果は156mVp-pと漏れ磁束量は大幅に低減できました。このベタグランドパターンはグランドへアース配線が必要か否かですが、結論は銅パターンは厚みが大切で、浮いていても一向に構いません、要は磁束ループを金属材で絶ち切ることが重要になります。
鈴木正太郎
参考文献:ベル二クス社、BYシリーズアプリケーションノート2002