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負帰還増幅器の位相とゲインの最適設計

 誤差増幅器の設計は電源の設計で重要項目となります。最近ではICメーカーが充実したアプリケーションノートを発行して詳細な回路図とトランスの仕様を公開していますので、何となく電源の設計は容易に見えます。しかし、電源設計に必要な技術ノウハウをすべて記載されることはありません。 ここでは誤差増幅器の「位相マージン」を変えることで電源の出力波形と負荷応答速度が変わることを勉強します。 図1-1、1-2,1-3の3例から3のゲインは同じに調整しました。図1-1は位相マージンをPM=60°にした時のゲインと位相図です。PM=60°のマージンはゆとりがありますが、安定したマージン設定です。ここで注目したいのが負荷応答波形です。負荷を0Aから0.5Aへ急変させるとアンダーシュート140mV、オーあーシュート130mV、応答速度110μsという結果でした。この条件と結果は通常の設計で最適です。 次に、図1-2に位相マージンをPM=16°にしてみました。位相は180°を回っていないので異常発振は起きていませんが、出力波形を良く見るとリンキング波形の様な異常発振手前の状態であることが分かります。しかし電圧ディップは70mVになり応答性も向上したように見えます。しかしこの僅かなリンキングの高調波が高温環境などでノイズトラブルを招きます。 図1-3は、位相マージンPM=6°という設定をしてみたものです。すでに大きなリンキングを発生しています。この設定では使用中に異常発振を招きます。 市販製品も含めて完成品の位相とゲインのマージンを見る事は大変難しくなりますが、今回の実験のように電源の負荷変動を急変させて応答波形を見てもある程度、位相とゲインの状況が分かります。

鈴木正太郎