本記事では、絶縁型DC/DCコンバータのノイズ伝搬の仕組みと抑制について解説します。
ノイズは様々な要因で発生しますが、ノーマルモードノイズとコモンノードノイズの2種類があります。
・ノーマルモードノイズとは
信号ライン間や、電源ライン間で発生するノイズで、±ラインのノイズ電流の方向は逆向きになります。
・コモンノードノイズとは
信号ラインや電源ラインと大地アース間に発生するノイズで、±ラインのノイズ電流の方向は同じ向きになります。
■外来ノイズの伝搬
絶縁型DC/DCコンバータは1次/2次間の絶縁により、入力側からのコモンモードノイズが出力側へ伝わるのを抑える働きがあります。 (図1)
但し、実際のコンバータではトランスの1次/2次間結合容量(数十~数百pF)を通して外来ノイズが伝搬します (図2細い矢印)。
図4のノイズ対策用入力/出力間コンデンサを内蔵したコンバータの場合は1次/2次間容量が数百~数千pFとなりますので外来ノイズの伝搬する量が増大します。 (図2太い矢印)
ベルニクスのDC/DCコンバータは入力/出力間容量を極力抑えると共に、データシート等で容量を開示しております。


■DC/DCコンバータ自身のノイズ抑制
DC/DCコンバータではスイッチングによる電圧変化がノイズ源となり、ノイズ電流がアースを流れるためコモンモードノイズが発生します。そのノイズ経路は図3の通りです。
2次側に伝搬したコモンモードノイズは電源ラインの+側配線インピーダンス(L+, r+)、-側配線インピーダンス(L-,r-)の不平衡等によってノーマルモードノイズに変換され、負荷装置の性能に悪影響を及ぼします。トランス結合容量が小さいほど負荷装置側へのノイズ伝搬は抑えられますが、以下の通り外付けコンデンサでの対策も可能です。
図4はコンバータの入力/出力間にコンデンサを
付加(数百~数千pF)してノイズを低減させる方法です。ノイズをバイパスする経路をコンバータ内部に作って、負荷装置側に伝搬するノイズを低減させます。但し、前述の通り入力側からの外来ノイズがこのコンデンサを通して負荷装置に伝搬し易くなるという短所もあります。

